太陽光発電は元が取れる?愛媛の日射量で試算|西条・新居浜の注文住宅
2026.10.31
「太陽光って、結局もとは取れるんですか?」——新築の打ち合わせで、いちばん多くいただく質問のひとつです。設備の説明より先に、みなさん電卓の答えが知りたいのだと思います。
この記事では、愛媛県西条市の工務店DAIYAHOMEが、愛媛の日射量・2026年度の売電価格・新築の設置費用という3つの実数をもとに、5kWを載せた場合の10年間を試算しました。都合のいい前提は置かず、回収できない条件もあわせてお伝えします。
愛媛の日射量なら5kWで年間6,000kWh前後の発電が見込める計算です。ただし2026年度の売電価格は5年目から8.3円/kWhまで下がります。一方、買う電気は31円/kWh前後。つまり「売る」より「自分の家で使う」ほうが約4倍の価値があり、回収できるかどうかは自家消費をどれだけ増やせるかで決まります。
01「元が取れる」を決める3つの数字
太陽光発電の損得は、突き詰めると3つの数字の引き算です。①いくらで載せたか(設置費用)、②どれだけ発電するか(日射量)、③発電した電気がいくらの価値になるか(売電価格と電気代)。このうち③が、ここ数年で大きく姿を変えました。
かつては「高く売れるから載せる」設備でした。いまは「買う電気が高いから、自分でつくって自分で使う」設備に役割が移っています。同じ1kWhでも、売れば8.3円、自宅で使えば31円前後の電気代が浮く——この差が、試算のすべてを左右します。
まずは②の発電量から、愛媛の実際の数字で見ていきます。
02愛媛の日射量|1kWあたり年間1,250kWh前後
愛媛は、太陽光にとって恵まれた土地です。気象庁の平年値(1991〜2020年)では松山の年間日照時間は約2,014時間。瀬戸内特有の雨の少なさが、そのまま発電量に効いてきます。
太陽光発電の目安としてよく使われるのが「1kWあたり年間約1,000kWh」という保守的な数字ですが、これは全国どこでも下回りにくい安全側の目安です。日射量をもとにした都道府県別の試算では、愛媛県は1kWあたり年間1,250〜1,300kWh程度とされています。この記事では控えめに1,250kWhで計算します。
ただし、この数字は屋根の条件がそろった場合のもの。向き・傾き・影の3つで実際の発電量は上下します。深い軒や隣家の影が屋根面にかかる位置も、設計段階でなければ調整できません。軒と日射の関係は軒の深い平屋のメリットとは?夏の日射対策と外観デザインでも解説しています。
032026年度の売電価格は「24円→8.3円」の二段階
ここが、いま一番知っておきたいポイントです。住宅用(10kW未満)のFIT買取価格は、2026年度から二段階の設定になりました。
最初の4年間は24円/kWhと手厚く、5年目から10年目は8.3円/kWhへ。早い時期に初期費用を回収しやすくする「初期投資支援スキーム」の考え方で、10年間ならすと平均14.6円/kWhほどになります。「10年間ずっと同じ単価」という従来の感覚のまま計算すると、5年目以降の落ち込みを見落としてしまいます。
一方、買う電気の目安単価は31円/kWh(税込)。つまり5年目以降は、売るより使うほうが約4倍おトクという関係です。昼間に洗濯乾燥機を回す、給湯の沸き上げ時間をずらす、といった暮らし方の工夫が、そのまま家計に効いてきます。給湯の選び方はエコキュートとガス給湯器、どちらが得?もあわせてご覧ください。
045kWで10年試算|初期費用の約8割という結果
それでは実際に計算します。前提は、新築に5kWを載せた場合。設置費用は国の委員会が公表している2025年の新築平均28.9万円/kWを使い、5kWで約144.5万円(税抜・補助金は考慮せず)としました。自家消費率は試算上の仮定として30%を置いています。
内訳はこうです。年間発電6,250kWhのうち3割(1,875kWh)を自宅で使えば、31円換算で年約5.8万円の電気代が浮きます。残り4,375kWhを売ると、1〜4年目は24円で年約10.5万円、5年目以降は8.3円で年約3.6万円。合計すると最初の4年は年16.3万円、5〜10年目は年9.4万円で、10年間で約122万円という計算になります。

設置費用144.5万円に対して約8割。残り約22万円は、年9万円前後の効果が続けば2〜3年で埋まる計算です。ただしパワーコンディショナの交換という出費が10〜15年目あたりに控えます。公的資料で示されている相場は30〜40万円程度。これを織り込むと「10年で回収」とはいかず、十数年かけて少しずつ取り戻していく設備と考えるのが現実的です。もう一段くわしい電気代の話は光熱費はいくら下がる?断熱等級6と等級4の電気代を比較でも扱っています。
05元が取れる家・取れない家の分かれ目
同じ5kWでも、結果に差がつく要因は3つあります。
① 屋根の条件。南向きに広い面が取れるか、影がかからないか。北面中心の割り付けや、隣家・樹木の影がかかる屋根では、試算より発電量が落ちます。② 昼間の在宅時間。共働きで日中ほぼ留守なら自家消費率は下がり、在宅時間が長いご家庭ほど31円の価値を受け取れます。③ 屋根材と施工のおさまり。台風の多い愛媛では、架台の固定方法や防水のおさまりも長い目で効いてきます(愛媛の台風対策|屋根・外壁・シャッターの選び方)。


そしてもうひとつ。太陽光は「屋根が決まってから考える設備」ではありません。間取りを決める段階で、屋根の形と向きに織り込んでおくほうが、同じ費用でも載る量が増えます。あとからパネルを足そうとして、載せたい面が北向きだった——というのは避けたい展開です。
DAIYAHOMEでは、8割以上のお住まいに太陽光発電を搭載しています(近年の施工実績)。施工実績の多く(7割超)が平屋ということもあり、屋根面を素直に取れる設計が多いのも愛媛ならではです。
もうひとつお伝えしたいのが、メーカーや建材を、標準仕様の枠にしばられずほぼすべての選択肢から選べること。太陽光のメーカーも、屋根材も、給湯設備も「この中から」ではなく、ご予算とご希望にあわせて組み合わせを考えられます(選ばれたものにより金額は変わります)。打ち合わせの回数に制限はありませんので、容量を3kWにするか5kWにするか、蓄電池をどうするか、納得いくまでご一緒に試算できます。なお蓄電池は、当社ではこれまで採用例がほとんどありません。給湯はハイブリッド給湯が主力で、オール電化にも対応しています。
施工エリアは西条市・新居浜市・四国中央市・松山市。太陽光と性能を組み合わせた家づくりの実例として、断熱等級7で建築中の断熱等級7の平屋・黒河邸 建築中レポートでは、太陽光やIoTを含む仕様を公開しています。
Qよくある質問
新築の太陽光発電は元が取れますか?
2026年度の売電価格はいくらですか?
蓄電池もいっしょに入れたほうがいいですか?
平屋でも十分な量を載せられますか?
- 愛媛の日射量なら1kWあたり年間1,250kWh前後。5kWで年約6,250kWhの発電という計算
- 2026年度の住宅用売電価格は1〜4年目24円、5〜10年目8.3円の二段階(買取期間10年)
- 買う電気は31円/kWh前後。売るより自分の家で使うほうが約4倍の価値
- 5kWの10年間の経済効果は約122万円=設置費用の目安(約144.5万円)の8割ほど
- パワコン交換(30〜40万円程度)も見込むと、十数年かけて取り戻す設備と考えるのが現実的
- 屋根の向き・形は間取りを決める段階で織り込むほど有利になる