蓄電池は今つけるべき?費用と使い方を整理|愛媛の注文住宅
2026.11.04
「太陽光は載せるつもりだけど、蓄電池まで必要なのかな」——打合せの席でいちばん迷われるのが、この設備かもしれません。停電のときに心強いのは想像できる。でも金額を見ると、ぱっと決められない。
この記事では、愛媛県西条市の工務店DAIYAHOMEが、蓄電池を「今」つけるべきかを、売電価格・導入費用・停電時に使える範囲の3点から整理します。売り込みではなく、判断材料をそろえるための記事です。
蓄電池は「電気を売る」より「ためて自分で使う」ほうが得になる流れを受けた設備です。ただし国の資料でみた価格水準で単純計算しても、回収には十年以上かかります。元を取ることが目的なら急ぐ必要はなく、停電への備えを優先したい方や、太陽光の買取期間の終わりが近い方から検討する——これが現時点での現実的な順番です。
01蓄電池は何をする機器?「ためて夜に使う」が基本
家庭用蓄電池の役割は、ひとことで言えば電気の時間差移動です。太陽光が働く昼間につくった電気のうち使い切れなかった分をためておき、発電しない夜や朝に取り出して使う。これが日常の使い方です。
もうひとつの役割が停電時の電源。送電が止まっても、ためてある電気で冷蔵庫や照明、スマートフォンの充電をまかなえます。

つまり蓄電池は「電気を生む設備」ではなく、太陽光でつくった電気の使い道を変える設備。だから太陽光とセットで考えるのが前提です。
02売るより使うが得になった|2026年度の売電価格と電気の単価
蓄電池の損得でいちばん大事な数字がここです。電気を売る単価と買う単価の関係が、この10年で逆転しました。
2026年度の住宅用太陽光(10kW未満)の固定価格買取(FIT)は、はじめの4年間が24円/kWh、5〜10年目が8.3円/kWhという二段階の設定です。最初に手厚く、後半は下がる形になっています。さらに10年の買取期間が終わった「卒FIT」後は、四国電力の買取プランで1kWhあたり7円00銭(2026年11月時点の公表単価)。
いっぽうで電気を買う側の目安単価は、全国家庭電気製品公正取引協議会が示す31円/kWh(税込)です。
つまり買取期間の後半や卒FIT後は、1kWhを売って得られるお金より、1kWhを買わずに済ませた節約額のほうがずっと大きい。卒FIT後なら売れば7円、自分で使えば31円を払わずに済むので、差は1kWhあたり約24円。この差額を積み上げる装置が蓄電池、という整理になります(太陽光そのものの採算は太陽光発電は元が取れる?愛媛の日射量で試算をご覧ください)。
03費用はいくら?1kWhあたりの価格と容量の考え方
蓄電池の価格は「蓄電容量1kWhあたりいくら」で比べるのが基本です。経済産業省の定置用蓄電システム普及拡大検討会のとりまとめでは、2024年度の家庭用蓄電システムの価格は1kWhあたり5.4万円、工事費は1.4万円と整理されています(国の補助事業で把握された価格水準)。国は2030年に家庭用で工事費込み7万円/kWhという目標価格も掲げています。
ただし実際の見積りは、機種・容量・全負荷か特定負荷か・分電盤の工事内容で大きく変わります。同じ容量でも販売ルートによって金額差が出やすい設備なので、数字は必ず「1kWhあたりいくらか」に換算して比べてください。寿命は使用年数と充放電の回数(サイクル数)で表され、保証年数や容量保証の条件も機種ごとに違うため、保証書まで確認を。年度によっては国や自治体の補助制度が使える場合もありますが、内容も予算も毎年変わるため、見積りの時点で使える制度を確認するのが確実です。
容量は「夜に使う量」から逆算する
では何kWh必要か。手がかりは1世帯あたりの電気使用量です。環境省の家庭部門のCO2排出実態統計調査(令和5年度確報値)では、1世帯の年間電気使用量は全国平均で3,911kWh。1日あたりにすると約10.7kWhです。
仮に夜のうち3kWhを蓄電池からまかなえたとすると、卒FIT後の価値(1kWhあたり約24円の差額)で年間およそ2.6万円。ここに5kWhクラスを上の価格水準(機器+工事で6.8万円/kWh)=約34万円で入れたとすると、単純計算で回収は十数年。だからこそ「元を取るため」より「安心を買うため」という動機のほうが、納得して選びやすい設備だといえます。
04停電のときどこまで使える?全負荷型と特定負荷型
防災目的で検討されるなら、ここが最大の分かれ道です。蓄電池には給電範囲の違う2タイプがあります。
特定負荷型は、あらかじめ決めた回路(冷蔵庫・リビングの照明・コンセント数カ所など)にだけ電気を送るタイプ。場所を絞るぶん価格は抑えられます。全負荷型は分電盤ごと家全体に給電でき、停電中もふだんに近い暮らしができますが、容量も価格も上がります。
どちらを選ぶかは「停電の夜、どの家電を止めたくないか」をご家族で挙げてみるのが早道です。冷蔵庫、照明、Wi-Fiルーター、夏場のエアコン1台——書き出すと、必要な容量とタイプがかなり絞れます。

なお愛媛は台風の通り道。停電への備えは蓄電池だけの話ではありません。屋根・外壁・開口部をどう守るかは愛媛の台風対策|屋根・外壁・シャッターの選び方で解説しています。建物側と設備側の備えは、セットで考えると効きます。
05今つけるか、あとからつけるか|判断の3つのものさし
① 停電への備えを重く見るか。金額に対する満足が「安心」で返ってくる設備です。小さなお子さんや介護が必要なご家族がいる、在宅の仕事で通信を止められない——こうしたご家庭は優先度を上げる理由があります。
② 太陽光の買取期間がどの段階か。新築ならFITの最初の4年間は24円/kWhで売れ、売電の価値がまだ比較的高い時期です。自家消費に回す効果が大きくなるのは、単価が下がる5年目以降や卒FIT後。この時間差を知れば「今すぐでなくてもよい」という判断にも根拠が持てます。
③ あとから付けられる余地を残せるか。蓄電池は後付けできます。屋内なら納戸や脱衣室の近く、屋外なら基礎と配管を避けた場所に、将来の設置スペースと配線ルートだけ確保しておく。この先行準備をしておけば、価格が下がったタイミングで無理なく追加できます。
正直にお伝えすると、DAIYAHOMEでは太陽光発電は8割以上のお住まいに搭載いただいている一方、蓄電池はこれまでほとんど採用例がありません。費用に対する効果の見え方がご家庭ごとに違うため、「標準でお付けします」とは申し上げていない設備です。
そのかわりにできるのが、打合せの回数に制限を設けず、ご家族の電気の使い方をうかがってから決めるという進め方です。朝型か夜型か、在宅時間はどれくらいか、止めたくない家電は何か。そこを伺ってから、太陽光の容量・給湯の方式(当社はハイブリッド給湯が主力で、オール電化にも対応)・蓄電池の要否を順に整理します。色・建材・メーカーもほぼすべてからお選びいただけます(選んだものにより金額は変わります)。
断熱の面でも下地はあります。DAIYAHOMEは断熱等級6(UA値0.46以下)を追加費用なしの標準仕様としており、そもそも冷暖房で使う電気が少ない家からスタートできます。ためる量を増やすより、使う量を減らすほうが確実で安いという考え方です。断熱等級7の平屋・黒河邸 建築中レポートでは、太陽光を含む設備の考え方も公開しています。
施工エリアは西条市・新居浜市・四国中央市・松山市。設備の損得は数字で、暮らし方はお話をうかがって——一邸ごとにゼロから設計する完全自由設計だからこそ、こうした判断に一つずつお付き合いできます。
Qよくある質問
蓄電池は新築のときにつけるべきですか?
蓄電池を入れると電気代はどれくらい変わりますか?
停電のとき、蓄電池があれば家じゅうの電気が使えますか?
DAIYAHOMEでは蓄電池を標準で採用していますか?
- 蓄電池は電気をつくる設備ではなく、太陽光でつくった電気の使い道を変える設備。太陽光とセットが前提
- 2026年度のFITは1〜4年目24円・5〜10年目8.3円/kWh、卒FIT後の四国電力は7円00銭。買う単価の目安31円との差が蓄電池の価値
- 価格は1kWhあたりで比べる。2024年度は機器5.4万円+工事1.4万円/kWh(国の補助事業ベース)、2030年の目標は7万円/kWh
- 停電時は全負荷型と特定負荷型で使える範囲が違う。止めたくない家電を先に決めると選びやすい
- 回収年数で見ると十数年。急いで決める設備ではなく、設置スペースと配線を残して後から足すのも有力な選択