吹き抜けのメリット・デメリットとは?寒さ対策も解説|愛媛の注文住宅
2026.10.05
「吹き抜けのある家に憧れるけれど、冬が寒いって聞くし……」——打ち合わせでよく出てくるお悩みです。開放感は欲しい、でも足元の冷えは避けたい。この2つは両立できないのでしょうか。
愛媛県西条市の工務店DAIYAHOMEが、吹き抜けのメリット・デメリットと「寒い」を防ぐ設計の考え方を、施工写真とあわせて整理します。
吹き抜けが寒いかどうかを決めるのは、吹き抜けそのものではなく家の断熱・気密と暖房計画です。暖かい空気が上へ動く性質は変えられませんが、熱が逃げにくい外皮にしておけば、上に動いた空気も室内にとどまります。断熱 → 窓 → 暖房の位置と空気の循環の順に設計すれば、開放感と冬の暖かさは両立できます。
01吹き抜けとは?床面積に入らない「縦の空間」
吹き抜けとは、1階の天井と2階の床を設けず、上下階がひとつながりになった空間です。平屋では、屋根の形に沿って天井を高くした勾配天井が同じ役割を果たします。
計画に効いてくる法律の話をひとつ。建築基準法で床面積は「各階の壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積」と定められています(建築基準法施行令第2条第1項第3号)。吹き抜け部分は上の階に床がないため、その階の床面積には算入されません。
つまり吹き抜けは、延床面積を増やさずに広がりと採光を得られる設計手法。限られた敷地や予算で「広く感じる家」をつくりたいときの選択肢になります。
02吹き抜けの4つのメリット
① 高い位置から光が入る。これが最大の価値です。建築基準法では居室に床面積の7分の1以上の採光に有効な窓等が求められます(照明設備の設置など一定の措置をとる場合は10分の1まで)。高い位置の窓は隣家や塀にさえぎられにくく、同じ面積でも光がよく届きます。

② 面積以上の開放感。人が感じる広さは床面積だけでは決まりません。天井までの距離が伸びると、同じ畳数のLDKでもゆとりを感じられます(参考:LDKの間取りで後悔しない7つのポイント)。
③ 家族の気配がつながる。1階のキッチンから2階の子ども部屋の前まで声が届き、個室に閉じこもりきりにならない家になります。
④ 空気が動きやすい。高い位置に開く窓を設ければ、高低差を使った自然な通風が生まれます。
03「吹き抜けは寒い」はなぜ起きるのか
ここが本題です。寒さは次の2つが重なったときに現れます。
原因1:暖かい空気は上へ動く。空気は暖まると軽くなり上へ移動します。縦につながった吹き抜けではこの動きが大きくなり、天井付近に暖気が集まって足元には冷たい空気が残ります。
原因2:熱が逃げる外皮。ただしこれだけなら「上に動いただけ」。問題は壁・屋根・窓から熱が逃げる家の場合です。暖めた空気が外へ抜け、冷やされた空気が窓際を下りてくる——このコールドドラフトが足元の冷えを決定づけます。


逆にいえば熱が逃げない家をつくれば、悩みの大半は設計段階で消せるということ。効く順番に見ていきます。
04寒さを防ぐ3つの対策|効く順番がある
① 外皮の断熱性能を確保する(いちばん効く)
壁・屋根・床・窓から逃げる熱の量を示すのがUA値(外皮平均熱貫流率)で、小さいほど高断熱です。住宅性能表示制度の断熱等級6は、愛媛の主なエリア(地域区分5〜7)でUA値0.46以下。2025年4月に省エネ基準(等級4以上)への適合が義務化されましたが、吹き抜けを気持ちよく使うなら等級6相当を目安にしたいところです(参考:断熱等級6とは?UA値0.46が暮らしをどう変えるか)。
② 吹き抜けに面する窓の性能を上げる
熱の出入りがもっとも大きいのは窓です。吹き抜けの高窓は面積が大きくなりがちで、ここを妥協すると①の努力が打ち消されます。サッシとガラスの組み合わせで性能は変わります(参考:樹脂サッシとアルミ樹脂複合、どちらを選ぶ?)。夏の日射対策として軒・ひさし・シェードの計画もあわせて考えます。
③ 暖房の位置を決め、空気を循環させる
エアコンを吹き抜けの上部に付けると、暖気が下りてこないまま運転が続くことがあります。暖房は低い位置から、冷房は高い位置から——この基本に沿って、間取りの検討段階で設置場所を決めておきます。シーリングファンは天井付近の空気を押し下げ、温度ムラをならす仕上げ役。計画換気(2003年施行の建築基準法改正で、住宅の居室に機械換気設備の設置が義務化)の給排気口の位置も、空気の流れを考えるうえで重要です。


05寒さ以外のデメリットと、設計での対処
音とにおいが伝わりやすい。気配がつながるメリットの裏返しです。吹き抜けに面する個室の建具を開き戸にする、2階ホールと居室の間に緩衝空間を挟む、レンジフードの性能と位置を検討する——といった工夫で和らげられます。
照明と窓の掃除に手が届かない。高所は脚立では届きません。電動昇降機能付きの照明にする、ランプ交換が不要な器具を選ぶ、高窓を電動開閉にする。採用の前に「10年後、誰がどうやって手入れするか」を決めておくのがコツです。

構造の検討が必要になる。2階の床は、地震の揺れを耐力壁へ伝える「水平構面」の役割も担います。吹き抜けで床が抜ける分、梁の掛け方や火打ち・構造用合板の使い方で水平方向の硬さを確保する設計が要ります。国土交通省の技術資料でも、吹き抜けを持つ住宅の水平構面の剛性確保は検討課題として扱われてきました。「大きな吹き抜けがほしい」と「地震に強い家にしたい」は同時に詰めるべきテーマです。
2階に使える床が減る。将来の家族構成も含めて、「何帖なら納得できるか」を数字で詰めておきたいところです。
DAIYAHOMEは断熱等級6(UA値0.46以下)を標準仕様としています。標準のため追加費用はかからず、前章の「いちばん効く対策」が確保された状態から設計を始められます。断熱等級7(UA値0.26以下)もオプションでお選びいただけます。
窓はLIXIL「サーモスTW」とYKK AP「APW330」を基本に採用(商品ラインにより標準の仕様は異なります)。換気は第一種熱交換換気「澄家」と第三種ダクト式「ルフロ400」の2方式を使い分け。基礎断熱を主に採用しているため、床下まで含めて空気を動かせる機種を選んでいます。吹き抜けのある家では、この「家全体で空気を動かす」考え方がそのまま効きます。
構造は、2階建てのお住まいについて許容応力度計算を実施(計算は外注、設計は社内の一級建築士が担当)。吹き抜けの大きさと耐震性のバランスを、感覚ではなく設計で詰められます。
そして契約前に、間取りの打ち合わせを何度でも行います(回数制限なし・何回でも無料)。「吹き抜けは何帖がいいか」「照明の手入れはどうするか」「エアコンはどこに付けるか」——細部をプランが固まるまで詰められるため、契約後に大きな変更が出て追加費用が膨らむことが起きにくい進め方です(契約後の変更は都度お見積りとなります)。
施工エリアは西条市・新居浜市・四国中央市・松山市。西条市内では断熱等級7の平屋を当社スタッフの自邸として建築中です(2026年12月完成予定)。仕様を公開している断熱等級7の平屋・黒河邸 建築中レポートもどうぞ。
Qよくある質問
吹き抜けをつくると本当に寒くなりますか?
吹き抜けの面積は延床面積に入りますか?
吹き抜けの寒さ対策で、いちばん効果が大きいのはどれですか?
平屋でも吹き抜けはつくれますか?
- 吹き抜けは上の階の床面積に算入されない(建築基準法施行令第2条第1項第3号)。延床面積を増やさずに高さと光を得られる
- メリットは高い位置からの採光・開放感・家族の気配・通風。採光は居室の床面積の7分の1以上が基準
- 「寒い」の正体は暖気が上へ動く性質+熱が逃げる外皮の組み合わせ。吹き抜けそのものが原因ではない
- 対策は①断熱 →②窓 →③暖房の位置と空気の循環の順。断熱等級6(UA値0.46以下)が目安
- 音・におい・高所の手入れ・水平構面(構造)・2階の床の減少は、設計段階で詰めておく