許容応力度計算とは?法改正で変わる2階建ての構造チェックと当社の対応
2026.09.08
「2階建てで検討していたら、工務店から『構造計算の資料が必要になったので、少しお時間をいただきます』と言われた」。西条市や新居浜市でお家づくりを進めているお客様から、こうしたご相談をいただくことが増えました。
これは2025年4月に施行された建築基準法の改正が背景にあります。ニュースでは「4号特例の縮小」という言葉で語られますが、実際に何がどう変わり、これから建てるご家族にとってどんな意味があるのか。専門用語をできるだけかみ砕いて、愛媛の工務店の立場からご説明します。
2025年4月から、木造2階建て住宅は建築確認申請のときに構造関係の図書を提出することが必要になりました。ただし、その確認方法として許容応力度計算が一律に義務づけられたわけではなく、従来からの仕様規定(壁量計算など)でも法令上は成立します。当社では2階建てについて、より精度の高い許容応力度計算を実施しています。
01許容応力度計算とは?家の「体力測定」のようなもの
許容応力度計算とは、建物にかかる力(地震・風・雪・建物自身の重さ)を計算し、柱や梁、基礎といったひとつひとつの部材が、その力に耐えられるかどうかを数値で確かめる構造計算のことです。
イメージとしては、家の「体力測定」に近いものです。壁の量が足りているかを大まかに見るのではなく、どの柱にどれだけの力がかかり、その柱の断面はそれに耐えられるのかを、部材レベルで一本ずつ確認していきます。基礎の配筋や、柱を土台につなぐ金物の選定まで、計算に基づいて決めていくのが特徴です。
木造住宅の構造安全性を確かめる方法にはいくつかの段階があり、許容応力度計算はそのなかでも詳細な部類に入ります。住宅性能表示制度で耐震等級2・3を取得する際にも、この計算が用いられます。

022025年4月の法改正で何が変わったのか
2022年6月に公布された「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律」(令和4年法律第69号)により、2025年4月から建築確認の手続きが見直されました。
「4号建築物」がなくなり、新2号・新3号に分かれた
これまで木造2階建て住宅の多くは「4号建築物」と呼ばれ、建築士が設計する場合には構造関係規定等の審査が省略される制度(いわゆる4号特例)の対象でした。改正後はこの区分がなくなり、木造2階建て、および木造平屋建てで延べ面積200㎡を超えるものは「新2号建築物」に、木造平屋建てで延べ面積200㎡以下のものは「新3号建築物」に整理されました。
新2号建築物は審査省略制度の対象外となり、確認申請の際に構造関係規定等の図書と省エネ関連の図書を新たに提出する必要があります。一方、新3号建築物(平屋・200㎡以下)は、これまでどおり一部図書の省略が継続されます。
なぜ見直されたのか
背景にあるのは省エネ基準の適合義務化です。国土交通省の資料では、断熱性能の向上や階高の引き上げ、トリプルガラスサッシ、太陽光発電設備などが設置される場合、従来に比べて重量が大きくなり、地震動等に対する影響に配慮が必要だと説明されています。
つまり「性能の高い家ほど重くなる」ため、構造の安全性をこれまで以上にきちんと確かめましょう、という趣旨の改正です。断熱と耐震は別々の話に見えて、実はつながっているというわけです。
03仕様規定と許容応力度計算、どこが違う?
ここで誤解されやすいのが、「法改正で許容応力度計算が義務になった」という理解です。正確には、構造関係の図書の提出が必要になったのであって、その中身として許容応力度計算だけが認められているわけではありません。木造2階建てでは、従来からの仕様規定(壁量計算・四分割法・N値計算など)による確認も引き続き成立します。
| 確認の方法 | 内容の目安 |
|---|---|
| 仕様規定 (壁量計算など) |
必要な耐力壁の量、壁のバランス、柱を留める金物などを、定められた基準に沿って確認する方法。木造2階建てで一般的に用いられてきました。 |
| 許容応力度計算 | 建物にかかる力を算出し、柱・梁・基礎など部材ごとに耐えられるかを数値で検証する方法。耐震等級2・3の取得にも用いられます。 |
どちらも法令上は認められた方法ですが、確認の細かさが異なります。たとえば大きな吹き抜けがある、リビングに大開口の窓を設けたい、2階に重量のある設備を載せたいといったプランでは、部材単位で検証する許容応力度計算のほうが、間取りの自由度と安全性を両立させやすくなります。

04壁量基準も同時に見直された(経過措置は終了)
2025年4月の改正では、確認手続きだけでなく、構造の基準そのものも見直されました。国土交通省の資料によると、主な変更点は次のとおりです。
- 必要壁量の算定を、従来の「軽い屋根/重い屋根」の区分から、建物の荷重の実態に応じた算定式による方法へ見直し
- 存在壁量として、耐力壁に加えて腰壁・垂れ壁等も考慮できるように
- 使用できる壁倍率の上限を5倍以下から7倍以下へ
- 構造計算(昭和56年告示1100号6号)による場合は、壁量計算は不要に
- 柱の小径についても、荷重の実態に応じた算定方法へ見直し
あわせて、壁量基準等については2025年4月1日から2026年3月31日までに工事に着手するものは、改正前の基準によることができる経過措置が設けられていました(地階を除く階数2以下・高さ13m以下・軒高9m以下・延べ面積300㎡以内の木造建築物が対象)。
この記事を公開している2026年9月時点では、経過措置の期間はすでに終了しています。これから着工されるお住まいは、原則として新しい壁量基準で設計されることになります。※制度の適用は個別の条件によって判断が異なる場合があります。詳細は設計者や所管の行政庁にご確認ください。
05施主として知っておきたい3つのポイント
① 確認申請から着工までの期間に余裕をみておく
提出する図書が増えたぶん、審査にかかる時間も従来より長くなる傾向があります。土地の引き渡し時期やご入居の希望時期がある場合は、早めにスケジュールを共有しておくと安心です。
② 「構造計算をしているか」を確認するときの聞き方
打ち合わせで確認されるなら、「構造の安全性はどの方法で確かめていますか」「許容応力度計算はされますか」と尋ねてみてください。仕様規定であっても法令上は問題ありませんが、どちらの方法で確認しているかを知っておくと、プランの自由度や耐震等級の話がしやすくなります。
③ 耐震等級とセットで考える
耐震等級2・3を取得する場合は許容応力度計算などが用いられます。「地震に強い家にしたい」というご希望があるなら、構造計算の方法と耐震等級の目標をセットで相談されるとスムーズです。

当社では、2階建てのお住まいについて許容応力度計算を実施しています。構造計算そのものは専門の外部機関に依頼し、設計は社内の一級建築士が担当する体制です。法令上は仕様規定でも成立する部分ですが、より詳しく検証しておくことが、長く住まわれるご家族の安心につながると考えています。
耐震等級については、多くのお住まいで耐震等級3を取得しています(すべての物件ではなく、プランやご要望により異なります)。あわせて制震ダンパーも、ご予算とご希望に応じて採用しています。地盤についてはスクリューウエイト貫入試験(SWS試験)を実施し、地盤保証は20年です。
また当社は完全自由設計で、規格プランから選ぶのではなく一邸ごとにゼロから設計します。打ち合わせは回数制限なく何度でも無料ですので、構造や耐震について気になることは、納得いくまでご質問ください。施工エリアは西条市・新居浜市・四国中央市・松山市です。
よくあるご質問
2025年4月から、木造2階建ては許容応力度計算が必須になったのですか?
平屋の場合も構造の図書提出が必要ですか?
構造の図書が増えると、建築費や工期に影響はありますか?
壁量基準の経過措置は、いま建てる家にも使えますか?
- 2025年4月施行の改正で「4号建築物」の区分がなくなり、木造2階建て等は「新2号建築物」に。審査省略制度の対象外となり、構造関係規定等の図書と省エネ関連の図書の提出が必要になりました。
- 木造平屋建てで延べ面積200㎡以下は「新3号建築物」として、従来どおり一部図書の省略が継続されます。
- 許容応力度計算が一律に義務化されたわけではなく、仕様規定による確認も法令上は成立します。
- 壁量基準等も同時に見直され、経過措置は2026年3月31日着工分までで終了しています。
- DAIYAHOMEでは2階建てについて許容応力度計算を実施し、多くのお住まいで耐震等級3を取得しています。
【ご注意】2026年9月時点の情報です。制度・価格は変更の可能性があります。最新の内容は公式サイトでご確認ください。掲載写真は当社の施工事例・施工現場の実写真です。
【出典】国土交通省「省エネ基準の適合義務化に併せて木造戸建住宅を建築する場合の建築確認手続きが見直されます 『4号特例』見直し3つのポイント」/国土交通省 住宅局「建築基準法・建築物省エネ法 改正法制度説明資料(令和6年9月)」
本記事は制度の概要をわかりやすくお伝えすることを目的としています。個別の建築計画への適用については、設計者または所管の行政庁にご確認ください。