老後も暮らしやすい家とは?平屋とバリアフリーの考え方|愛媛の注文住宅
2026.10.24
「いまは夫婦とも元気だけれど、この家に70代・80代になっても住めるだろうか」——間取りの打ち合わせが進むと、ふとそんな話になります。かといって、まだ必要のない手すりを家じゅうに付けるのも気が引ける。そのもやもやは自然なものです。
この記事では、愛媛県西条市の工務店DAIYAHOMEが、老後も暮らしやすい家の考え方を、国の設計指針の寸法と公的な事故データから整理します。「いま決めること」と「後からでいいこと」を分けると、迷いはずいぶん軽くなります。
老後も暮らしやすい家は、手すりの本数では決まりません。効くのは「段差」「温度差」「動線」を設計の段階で小さくしておくこと。この3つは後から変えるのが難しく、逆に手すりやスロープは体の状態が変わってから、その人に合わせて付けたほうが使いやすいのです。
01転ぶ場所は「特別な場所」ではない
バリアフリーというと、階段やお風呂のような「危なそうな場所」を思い浮かべます。ところが公的な調査が挙げるのは、もっと身近な場所です。消費者庁新未来創造戦略本部「高齢者の事故防止等に関するアンケート調査 報告書」(2024年4月)の、部屋ごとの「つまずく・転ぶ・よろめく」経験率を見てください。
一番多いのは居間(46.2%)。次が寝室、廊下、台所・食堂と続きます。転倒のきっかけは特殊な場所ではなく、毎日何十回も通る場所に潜んでいるのです。
消費者庁も2020年の注意喚起で、高齢者の転倒事故の約半数が住み慣れた自宅で起きていると呼びかけています。同資料に寄せられた自宅での転倒144件でも、浴室・脱衣所27件、玄関・勝手口22件、階段22件と水まわりと玄関が上位。特別な「介護の部屋」をつくるより、毎日通る場所のつまずきの種を減らすことが土台になります。
02国の指針で見るバリアフリーの寸法
とはいえ、寸法がなければ設計に落とせません。目安は公的に示されています。国土交通省告示「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」(平成13年告示第1301号・最終改正 平成21年告示第906号)と、住宅性能表示制度の高齢者等配慮対策等級です。
注意したいのは、これらが「一人がなんとか通れる下限」に近い数値だということ。有効幅員780mmは、杖や介助者が横に付くと決して広くありません。廊下をなくして部屋どうしを直接つなぐ、洗面やトイレの前だけ広く取る、といった工夫が現実的です。
- 床の段差(特に玄関の上がり框・洗面と浴室の間・掃き出し窓まわり)
- 通路と出入口の有効幅、ドアを引き戸にできるかどうか
- トイレ・浴室・廊下の壁への手すり下地の補強
- 家全体の断熱性能(=部屋ごとの温度差)

なお等級3では、トイレと浴室には手すりそのものを設け、玄関と脱衣室は下地の準備で足りるという整理です。この「下地だけ先に」という考え方は、新築のバリアフリーでとても実用的です。
03いちばん怖いのは冬の浴室と脱衣室
老後の住まいで、段差よりも先に手を打ちたいのが家の中の温度差です。消費者庁が2025年12月に公表した注意喚起によると、2024年の浴槽内での溺死・溺水および浴槽への転落による死亡者は7,776人、うち65歳以上が7,363人(約95%)。同資料の65歳以上の交通事故死亡者数は2,103人で、浴槽での事故は交通事故の3倍以上という計算です。
原因のひとつが、暖かい部屋から寒い脱衣室・浴室へ移って血圧が大きく変動する、いわゆるヒートショック。瀬戸内の温暖な愛媛でも、冬の朝の脱衣室は想像以上に冷えます。


ここで効くのは、手すりでも介護機器でもなく断熱性能と暖房計画です。家全体の断熱が十分なら、脱衣室だけが極端に冷える状態は起きにくくなります(室温と体への影響は冬に暖かい家は健康にどう効く?室温18℃と血圧の関係、水まわりの分け方は洗面脱衣室を分けるメリット・デメリットで解説しています)。
04平屋という選択肢|階段がないと何が変わる
段差・温度差・動線という3つの課題を、間取りの形そのもので軽くできる選択肢が平屋です。階段がなくなれば、家の中でいちばん大きな段差の連続が消えます。洗濯物を2階へ運ぶ、寝室だけ寒いといった負担も同時になくなり、暖冷房も1フロアで済みます。

一方で平屋は、同じ床面積なら2階建てより広い敷地が必要です。土地や予算の条件で難しい場合に有効なのが、2階建てでも「1階だけで暮らせる」形にしておく考え方。1階に寝室にできる部屋(最初は和室や書斎でもかまいません)とトイレ・浴室・洗面をまとめておくのです。平屋の形や広さはコの字・L字の平屋とは?、愛媛で建てる平屋の間取り実例もご覧ください。
05新築でやること・後からでいいこと
バリアフリーで失敗しやすいのは、やりすぎることです。いま必要のない手すりが廊下に並ぶと生活感が重くなり、使う年齢になったときには位置も高さも合っていないことが起こります。標準は床から75cmでも、ちょうどよい高さは身長や体の状態で変わるからです。
そこで新築時は「後から変えにくいもの」に集中します。段差・幅・断熱、そして下地の補強。壁に合板などの下地を入れておけば、必要になったとき壁を壊さず好きな位置へ手すりを付けられます。新築時なら費用もごくわずかです。


もう一つ忘れられやすいのが建具を引き戸にできるかです。開き戸は体を引いて避ける動作が要り、杖や車いすでは扱いにくい。引き戸なら動作が小さく、開けたままでも通路をふさぎません。ただし引き込む壁が必要で、間取りを決める段階でしか選べません。
- 手すり本体の取り付け(下地があれば位置も高さも自由に選べる)
- 玄関の踏み台・ベンチ、スロープの設置
- 浴室の滑り止めマット・シャワーチェア
- 足元灯の追加、ドアノブのレバーハンドル化
老後の備えは、カタログの仕様では決まりません。ご家族の年齢、親世代の介護の経験、将来この家に誰が住むか——そこを伺わないと、どこに下地を入れ、どの段差を消すべきかが決まらないからです。DAIYAHOMEは一生に一度の家づくりを一件一件、親身に寄り添ってお話を伺うことを大切にしています。打ち合わせは回数に制限がなく何回でも無料、契約前に間取りを固めてから契約する進め方なので、老後の話を後回しにせずに済みます。
設計面では施工実績の多く(7割超)が平屋、得意な広さは30〜35坪が中心です。ワンフロアの暮らしを数多く手がけてきた経験から、「ここは廊下を短くできる」「この建具は引き戸に」といった提案ができます(社内に一級建築士が在籍)。温度差への備えは断熱等級6(UA値0.46以下)が標準仕様で追加費用なし。さらに上の等級7も選べます(仕様は断熱等級7の平屋・黒河邸 建築中レポートで公開中)。
お引き渡し後は1年・2年・5年・10年の定期メンテナンスに加え、永年の訪問メンテナンスを無料で実施。建具の調整などメンテナンス社員が対応できる軽微な補修は無償です(機器・部品の交換や専門業者の手配が必要なものは実費・有償)。年を重ねてから気軽に相談できる相手がいることも、長く住む家の安心だと考えています。施工エリアは西条市・新居浜市・四国中央市・松山市。
Qよくある質問
新築のとき、バリアフリーはどこまでやっておくべきですか?
老後を考えるなら平屋のほうが暮らしやすいですか?
バリアフリー住宅の廊下幅や段差には基準がありますか?
愛媛のような温暖な地域でも、冬の浴室対策は必要ですか?
- つまずきが多いのは居間46.2%・寝室42.3%・廊下40.8%。毎日通る場所こそ対策する場所
- 寸法の目安は通路の有効幅員780mm以上・段差180mm以下・手すり高さ75cm。いずれも「下限」と考える
- 2024年の浴槽内等での死亡は7,776人(65歳以上7,363人)。温度差対策=断熱が最大の備え
- 平屋は段差・動線・温度差をまとめて軽くできる。難しければ「1階で完結する2階建て」に
- 新築では段差・幅・断熱・手すり下地を。手すり本体やスロープは後からでも間に合う